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保育ICT推進加算が創設、要件は4機能

保育ICT推進加算が創設、要件は4機能

令和8年度から保育ICT推進加算が創設されました。単価は幼稚園・保育所・認定こども園が30万円、地域型保育事業が18万円で、この額を3月初日の利用子ども数で割った額を、3月初日の利用子どもの単価に加算します。要件は登降園管理・保護者との連絡・保育に関する計画記録・キャッシュレス決済の4機能をそろえて活用することで、国の調査では4機能すべてを導入している施設は11.7%でした。

登降園管理だけ、連絡帳だけという導入のしかたでは加算の対象になりません。加算を取るつもりがあるなら、自園が4機能のどこを埋めていないかを先に確認してください。

保育ICTとは何ですか

保育ICTとは、登降園の管理、保護者との連絡、保育に関する計画・記録、実費徴収のキャッシュレス決済といった保育所等の業務をシステムで扱う仕組みです。こども家庭庁は令和8年度の公定価格資料で、この4つを「4つの機能:園児の登園及び降園の管理、保護者との連絡、保育に関する計画記録及びキャッシュレス決済に関する機能」と定義しています。

機能ごとの導入率は分かれています。こども家庭庁の「省力化投資促進プラン ―保育―(案)」(令和7年5月14日、新しい資本主義実現会議(第34回)資料)が載せた「保育ICTの導入状況に関する調査研究」(調査期間は令和6年9月〜10月)の結果は次の数字です。市区町村を通じて保育所・幼保連携型認定こども園・地域型保育事業に調査票を配布した悉皆調査で、16,709施設から回答を得ています(内訳は保育所10,031施設、幼保連携型認定こども園3,688施設、地域型保育事業所2,990施設)。幼稚園は調査の対象に入っていません。

  • 園児の登園及び降園の管理に関する機能 71.3%
  • 保護者との連絡に関する機能 71.5%(ICTを介さない個別メールを除く)
  • 保育に係る計画・記録に関する機能 55.4%
  • キャッシュレス決済に関する機能 15.0%
  • 4機能のいずれかを導入 80.8%
  • 4機能いずれも導入 11.7%
  • 午睡センサー 19.4%

8割の施設が保育ICTを何かしら導入していて、4つそろっているのは1割強です。同じ資料は、キャッシュレス決済を除く3機能のいずれも導入している施設を48.7%と記載しています。4機能すべてになると11.7%まで下がり、キャッシュレス決済の導入率15.0%が4機能のうちいちばん低い数字です。

同じ資料は、導入している保育ICTを日々の保育業務に活用しているかという問いでは、保護者との連絡に関する機能が67.8%、園児の登降園管理が68.2%に下がると記載しています。加算の要件は4つの機能を持つICTを業務において活用することなので、未導入の機能を数えるだけでなく、入れた機能を毎日使っているかもあわせて確認してください。

保育ICT推進加算はいくらで、要件は何ですか

単価は幼稚園・保育所・認定こども園が30万円、家庭的保育事業所や小規模保育事業所などの地域型保育事業が18万円です。この額を3月初日の利用子ども数で割り、3月初日の利用子どもの単価に加算します。対象施設は幼稚園、保育所、認定こども園、家庭的保育事業所、小規模保育事業所、事業所内保育事業所、居宅訪問型保育事業所です。

要件は、ICT活用の責任者を置いた上で、次の3つをすべて行うことです。

  1. 業務において、4つの機能を持つICTを活用する
  2. 給付・監査について、保育業務施設管理プラットフォームを活用する
  3. 入所・入園の調整等において、保活情報連携基盤を活用する

ICT活用の責任者は、ICTの導入・活用について施設内で中心になって取り組み、他の職員の相談に対応する役割です。資料は、責任者1人だけで取り組むことを前提とせず、複数人でチームを組んで取り組むことを前提とするよう書いています。担当者を1人決めて終わりにする運用は想定されていません。

2つのプラットフォームには令和8年度の扱いがあります。資料は「令和8年度においては施設においてアカウントの発行を受けていて、令和9年度以降に活用する予定であることをもって算定可能とする」として、活用の具体的な内容は令和8年度中の早期に示す予定としています。令和8年度は、アカウントを取っておけば要件を満たせる形です。

アカウントの発行時期は自治体の状況によります。こども家庭庁「保育DXの推進について」は、2つの基盤について「利用開始時期の義務化や指定はしない」と記載しています。自治体がまだ利用を始めていない段階で園がアカウントの発行を受けられるかは、市区町村の担当課に確認してください。

対象外になる条件が2つ書かれています。1つは、ここdeサーチにおける施設の運営状況に関する情報の最新化を行っていない施設・事業所は加算の対象外になることです。例年5月に最新化の依頼があり、9月末までに更新または更新なしの処理をする扱いです。市町村から最新化・修正の指摘があったときに対応していない場合も、その年度の加算は認められません。

もう1つが、次に説明する補助金との関係です。

補助金を使った年度は加算を算定できますか

算定できません。令和8年度の公定価格・基準等の見直し事項は、保育ICT推進加算について次のとおり記載しています。

「保育所等におけるICT化推進等事業」による補助を受け、システムの導入等を行った年度は本加算の算定はできないものとする

導入費用の補助金と、運営費の加算は、同じ年度に重ねて取れません。システムを新しく入れる年度は補助金で費用を賄い、加算はその次の年度から算定する、という順番になります。4機能のうち足りない機能を補助金で入れるなら、どの年度に申請するかで加算の初年度が変わります。自園の申請予定を自治体の募集時期と並べて確認してください。

保育所等におけるICT化推進等事業はいくらまで出ますか

導入費用の補助は「保育所等におけるICT化推進等事業」(保育対策総合支援事業費補助金)で行われています。こども家庭庁の事業概要資料「保育所等におけるICT化推進等事業① 拡充」は、この事業の令和6年度補正予算額を28億円と記載しています。業務のICT化等を行うためのシステム導入の補助基準額は、導入する機能の数で決まります。

  • 1機能 1施設当たり20万円(併せて端末購入等を行う場合:70万円)
  • 2機能 1施設当たり40万円(同:90万円)
  • 3機能 1施設当たり60万円(同:110万円)
  • 4機能 1施設当たり80万円(同:130万円)

この補助には「1施設1回限り対象」という条件が付いています。例外は1つで、新たにキャッシュレス決済システムを導入する場合は、過去にこの補助金で登降園管理等の他のシステムを導入していても対象になります。登降園管理だけを20万円の枠で入れた施設が、あとから計画・記録の機能を同じ補助金で入れることは、原則としてできない読みになります。導入する機能を1回の申請でまとめるか、キャッシュレス決済を後に回すか、園の側で決める話になります。実際の取り扱いは市区町村の募集要領で確認してください。

補助割合は、システム導入の場合で国1/2、市区町村1/4、事業者1/4です。自治体・ICT関連事業者・保育事業者などで構成される協議会を自治体が設置し、システム導入費用の補助以外の取組を行っている場合は、国2/3、市区町村1/12、事業者1/4に嵩上げされます。嵩上げされても事業者の負担割合は1/4のままです。4機能80万円の基準額なら、園の負担は20万円が目安になります。※同じ資料には、嵩上げの対象について「(1)〜(2)、(9)は財政力指数が1.0未満の地方自治体が対象」という記載もあります。システム導入は(1)にあたるので、嵩上げが自園の自治体で適用されるかは市区町村の募集要領で確認してください。

補助の実績も公表されています。こども家庭庁「保育DXの推進について」(令和7年3月4日、子ども・子育て支援等分科会 資料10)は、補助実績を22,855施設(平成27年からの累計)、補助対象施設数を38,203施設(令和6年4月1日)と記載しています。同じ資料は、原則1施設1回限りの補助であるものの、キャッシュレス決済機能の導入については再補助が可能なため施設の重複の可能性があるとも書いています。累計の施設数をそのまま導入率として読むことはできません。

国はいつまでに何%を目指していますか

「省力化投資促進プラン ―保育―(案)」は、4機能いずれも導入している割合を令和8年度(2026年度)に20%以上、令和11年度(2029年度)に50%以上とするKPIを掲げています。午睡センサーの導入率は令和8年度に30%以上、令和11年度に60%以上です。

調査時点の11.7%から令和8年度の20%までは、8ポイント強の差です。4機能すべてを導入している割合は、キャッシュレス決済の導入率を超えません。調査時点のキャッシュレス決済の導入率は15.0%なので、20%以上というKPIに届くには、キャッシュレス決済を導入する施設が15.0%から20%超まで増える必要があります。保育ICT推進加算も、4機能の1つとしてキャッシュレス決済の活用を要件にしています。

加算と補助金のほかに、国は保育業務施設管理プラットフォーム(給付・監査のオンライン化)と保活情報連携基盤(入所申請や施設見学予約のオンライン化)を進めています。こども家庭庁の資料は、令和7年度末に試行運用を開始し、令和8年度以降に全国展開を進める予定としていました。令和8年度の保育ICT推進加算は、この2つの活用を要件に入れています。

入園書類の受け取りは4機能に入りますか

入っていません。加算の4機能は登降園管理、保護者との連絡、保育に関する計画記録、キャッシュレス決済で、入園時に保護者から受け取る書類の収集は含まれていません。保育ICTを入れた園でも、入園時の児童票や家庭状況調査票は紙で集めて、職員が園児台帳に手入力している運用が残ります。

ZuMyが提供している入園書類オンライン化サービス「zuuumy」は、この手前の部分を扱っています。保護者がスマートフォンで入園書類に回答し、園は集まった内容をCSVで保育ICTへ渡します。保育ICT「CoDMON」とのCSV連携にも対応していて、入園書類で集めた園児情報を、園児台帳へ手入力し直す作業を省けます。入園説明会の時期に事務が集中する園は、4機能の整備と別に、この入り口を見直す余地があります。

zuuumy の資料請求はこちらから、対応している書類の種類と連携の範囲を記載した資料をお送りします。

よくある質問

保育ICT推進加算はいくらもらえますか

単価は幼稚園・保育所・認定こども園が30万円、地域型保育事業が18万円です。この額を3月初日の利用子ども数で割った額を、3月初日の利用子どもの単価に加算します。令和8年度の公定価格・基準等の見直し事項で創設された加算です。

保育ICTの4機能とは何ですか

園児の登園及び降園の管理、保護者との連絡、保育に関する計画記録、キャッシュレス決済に関する機能の4つです。こども家庭庁が令和8年度の公定価格資料で保育ICT推進加算の要件として定義しています。国の調査(令和6年9月〜10月)では、4機能すべてを導入している施設は11.7%でした。

キャッシュレス決済を入れないと加算は取れませんか

キャッシュレス決済は4機能の1つなので、取れません。導入率は15.0%で、4機能の中でいちばん低い数字です。実費徴収や延長保育料をどう集めているかを確認してから、導入の検討に入ってください。

補助金と加算は同じ年度に両方使えますか

使えません。「保育所等におけるICT化推進等事業」の補助を受けてシステムの導入等を行った年度は、保育ICT推進加算を算定できないと資料に書かれています。導入の年度と加算の初年度がずれるので、申請の時期を自治体に確認してください。

ICT活用の責任者は誰を置けばよいですか

資料は、ICTの導入・活用について施設内で中心となって取り組み、他の職員の相談に対応する人を置くこととしています。資料は、責任者1人だけで取り組むことを前提とせず、複数人でチームを組んで取り組むことを前提とするよう書いています。役職の指定はありません。

出典

加算の算定要件と補助金の募集は自治体ごとに運用が分かれます。自園の扱いは、所在する市区町村の担当課で確認してください。

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著者 小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)。保育施設の入園書類オンライン化サービス「zuuumy」を開発・提供しています。