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保育士採用の進め方、求人の明示事項と資格確認

保育士採用の進め方、求人の明示事項と資格確認

保育士の採用で園が最初に固めるのは、求人に書く労働条件の明示事項と、応募者の資格確認の手順です。明示事項は職業安定法施行規則第4条の2第3項で決まっていて、業務内容と就業の場所は「変更の範囲」を含めて明示します。資格の確認は、都道府県知事が交付する保育士登録証で行います。

保育士の採用はどれくらい難しいですか

令和7年1月の保育士の有効求人倍率は3.78倍、全職種平均は1.34倍です。内閣官房の新しい資本主義実現会議(第34回)に提出された資料16-11に、保育士は対前年同月比で0.24ポイント上昇、全職種平均は0.01ポイント下落した数値として記載されています。

保育士とは、児童福祉法第18条の4で「第18条の18第3項に規定する保育士登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」と定められた資格です。登録を受けた人だけが保育士の名称を使えます。

国が人材確保の取組を区分している単位は、こども家庭庁の令和8年度予算案の概要で確認できます。保育士・保育所支援センター設置運営事業の必須の取組は、Ⅰ保育の現場・職業の魅力発信、Ⅱ新規資格取得支援、Ⅲ潜在保育士等の就職支援、Ⅳ就業継続支援、Ⅴ関係機関との連携の5項目に分かれています。園の課題が「応募が来ない」のか「入った人が続かない」のかで、使う制度が変わります。

保育士の求人に明示しなければならない労働条件は何ですか

労働者の募集を行う者は、業務の内容と賃金、労働時間その他の労働条件を明示する義務があります。職業安定法第5条の3第1項の条文です。

公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者並びに労働者供給事業者は、それぞれ、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

明示する事項は、職業安定法施行規則第4条の2第3項に並んでいます。条文の順に並べると次のとおりです。

  1. 労働者が従事すべき業務の内容に関する事項(従事すべき業務の内容の変更の範囲を含む)
  2. 労働契約の期間に関する事項
  3. 試みの使用期間に関する事項
  4. 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は更新回数に上限の定めがある場合には当該上限を含む)
  5. 就業の場所に関する事項(就業の場所の変更の範囲を含む)
  6. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項
  7. 賃金の額に関する事項(臨時に支払われる賃金、賞与などを除く)
  8. 健康保険、厚生年金、労働者災害補償保険、雇用保険の適用に関する事項
  9. 労働者を雇用しようとする者の氏名又は名称に関する事項
  10. 労働者を派遣労働者として雇用しようとする旨
  11. 就業の場所における受動喫煙を防止するための措置に関する事項

4番目の有期労働契約の更新基準は、期間の定めがあって更新する場合があるものに限って明示します。10番目の派遣労働者として雇用する旨は、派遣労働者として雇用しようとする場合に限られます。明示の方法は同条第4項で、書面の交付などが定められています。

園の求人票で抜けやすいのは、1番目と5番目の「変更の範囲」です。複数園を運営する法人が「本部の判断で他園へ異動あり」という運用をしているなら、就業の場所の変更の範囲として書く対象になります。クラス担任から事務や調理の補助に回る可能性があるなら、業務の内容の変更の範囲に当たります。

内定のときに条件が変わったらどうしますか

募集のときに明示した条件を変える場合、労働契約を締結しようとする相手に変更後の内容を明示します。職業安定法第5条の3第3項の義務です。対象になる場合は職業安定法施行規則第4条の2第1項が3つ挙げています。明示した範囲内で内容を特定する場合、明示した内容を削除する場合、内容を追加する場合です。

園見学で「早番から遅番までのシフトがあります」と説明し、内定時に早番固定で決めるなら、範囲内での特定に当たります。特定した内容を、内定の連絡と一緒に明示します。

応募者の保育士資格はどう確認しますか

保育士登録を受けた人には、都道府県知事が保育士登録証を交付します(児童福祉法第18条の18第3項)。保育士登録簿は都道府県に備えられます(同条第2項)。採用時に園が見るのは、この登録証です。

保育士となることができない人は児童福祉法第18条の5に列挙されています。心身の故障により業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの、拘禁刑以上の刑に処せられた者、児童の福祉に関する法律の規定により罰金の刑に処せられて3年を経過しない者、保育士登録を取り消されて3年を経過しない者などです。

資格のない人が保育士を名乗ることは禁じられています。児童福祉法第18条の23は「保育士でない者は、保育士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない」と定め、違反した者は同法第62条第2項第2号で30万円以下の罰金に処せられます。資格を持たない職員を募集するときは、職名に保育士を使わない形で求人を出します。国の事業では、保育士の補助を行う資格のない職員を「保育補助者」と呼んでいます。

地域限定保育士を採用するとき

地域限定保育士登録を受けている人は、児童福祉法第18条の23の規定にかかわらず、登録を行った認定地方公共団体の長の管轄する区域内に限り、地域限定保育士の名称を用いて業として児童の保育と保護者に対する保育に関する指導を行えます。名称を使える範囲が区域で区切られているので、採用のときに園の所在地がその区域内かを確認します。

採用した保育士について園が報告する義務

児童福祉法第18条の20の3は、保育士を任命し、又は雇用する者に報告義務を課しています。雇用している保育士が第18条の5第2号(拘禁刑以上の刑)若しくは第3号(児童の福祉に関する法律による罰金の刑)に該当すると認めたとき、またはその保育士が児童生徒性暴力等を行ったと思料するときは、速やかに都道府県知事に報告します。同条第2項は、刑法の秘密漏示罪その他の守秘義務に関する法律の規定が、この報告を妨げるものと解釈してはならないと定めています。

採用で使える公的な仕組みは何がありますか

保育士・保育所支援センターとは、保育士の就業と就業の継続を促進するために都道府県が整備する拠点です。児童福祉法第18条の24で都道府県に体制整備の義務が置かれ、指定都市と中核市は整備の努力義務を負います。

センターの業務は4つです。

  • 保育に関する業務への関心を高めるための広報を行うこと
  • 保育に関する業務に従事することを希望する保育士に対し、職業紹介、保育に関する最新の知識及び技能に関する研修の実施その他の支援を行うこと
  • 保育所の設置者に対し、保育士が就業を継続することができるような勤労環境を整備するために必要な助言その他の援助を行うこと
  • 保育士の就業及び保育所における就業の継続を促進するために必要な業務を行うこと

3番目は、園の側が相談できる業務です。人が採れない理由を園の中だけで検討するより先に、設置主体である都道府県・指定都市・中核市に助言を求める窓口があります。

設置数と実績は新しい資本主義実現会議の資料16-11に載っています。令和6年10月時点で全国75か所(都道府県46か所、指定都市・中核市29か所)、センターの紹介による就職件数は令和5年度に4,597件です。

令和8年度の補助の枠は、こども家庭庁の令和8年度予算案の概要で確認できます。保育士・保育所支援センター設置運営事業は保育対策総合支援事業費補助金463億円の内数で、補助率は国1/2、都道府県・指定都市・中核市1/2です。補助基準額の基本分は、前述のⅠからⅤの5項目すべてに取り組む場合に12,189千円で、実施できない事業項目があるとⅠからⅣは各2,500千円、Ⅴは2,000千円を減額します。加算分には、保育所等を訪問する人員の配置に4,172千円、社会保険労務士・弁護士・キャリアコンサルタント・中小企業診断士などの専門人材の配置に6,120千円、小中高生を対象とした保育体験・職業体験や職業講話に385千円が置かれています。補助を受けるのは自治体で、園が直接申請する補助金ではありません。巡回支援や専門人材の相談を園が受けられるかは、都道府県の実施状況で違います。

自分の園の求人をセンターで扱ってもらえるかも、都道府県の運用で変わります。法令が定めているのは、保育に関する業務に従事することを希望する保育士への職業紹介をセンターの業務とすることだけです。園からの求人の受け方は条文に書かれていないので、設置している都道府県・指定都市・中核市に確認してください。

保育補助者を雇い上げる補助

保育補助者雇上強化事業は、保育士の補助を行う職員の雇上げに必要な費用を補助する事業です。令和7年度予算案の資料では、補助の対象が2つに分かれています。保育士資格を有しない保育補助者と、保育士資格を有する保育補助者です。後者は、現に保育士として就業していない保育士資格を有する者(潜在保育士)が一定期間保育補助者として従事し、段階的に保育士として復帰する際の足掛かりとする使い方で、補助対象は1年間を限度としています。

補助基準額は保育補助者の経験年数で変わります。定員121人未満の施設で、3年未満1,953千円、3年以上7年未満2,441千円、7年以上3,255千円です。定員121人以上の施設は二人分の単価を適用します。実施主体は市区町村なので、募集の有無と締切は市区町村の担当課で確認します。

採用した職員が働き続ける条件をどう整えますか

賃金の条件は、処遇改善等加算の区分の整理で変わりました。こども家庭庁の資料「令和7年度以降の処遇改善等加算について」は、事務手続の簡素化等の観点から現行の3つの加算を一本化した上で、基礎分、賃金改善分(ベースアップ等)、質の向上分(リーダー層の改善)の3区分に整理すると書いています。求人票の賃金欄をつくる前に、自園がどの区分でいくら受け取っているかを確認します。区分ごとの要件と提出書類は処遇改善加算の一本化と区分1〜3の要件にまとめています。

研修は、センターの業務にも「保育に関する最新の知識及び技能に関する研修の実施」が入っています。採用後に受ける研修の種類と費用の見通しは保育士の研修、令和8年度の修了要件と受講料で確認できます。職員の負担を減らす設備投資には保育ICT推進加算があり、要件は保育ICT推進加算の4機能で整理しています。補助金の系統ごとの違いは保育園の補助金を3系統で整理した記事にあります。

求人を出す先として、園のホームページも確認の対象になります。公表が求められている情報の範囲は保育園のホームページ、義務と公表先で整理しています。

職員の事務の量そのものを減らす余地は、入園の時期に集まる書類にあります。ZuMy株式会社が提供する入園書類オンライン化サービス「zuuumy」では、児童票・緊急連絡先・生活状況票・健康問診票・食品調査票の5種を、保護者がスマートフォンから入力します。入力された内容は保育ICT「CoDMON」へのCSV連携に対応しています(CoDMONとのCSV連携の開始について)。4月入園の書類の回収と、新年度の職員の採用は、どちらも年明けから年度末に集まる仕事です。児童票の記載項目と保存期間も、様式を見直すときの参考になります。

よくある質問

保育士の有効求人倍率は何倍ですか

令和7年1月で3.78倍です。同じ時点の全職種平均は1.34倍です。新しい資本主義実現会議(第34回)資料16-11に、保育士は対前年同月比で0.24ポイント上昇、全職種平均は0.01ポイント下落と記載されています。

求人票に書かなければならない項目は何ですか

職業安定法施行規則第4条の2第3項が定める事項です。業務の内容(変更の範囲を含む)、労働契約の期間、試みの使用期間、有期労働契約を更新する場合の基準、就業の場所(変更の範囲を含む)、始業終業の時刻と所定労働時間を超える労働の有無・休憩時間・休日、賃金の額、健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用、雇用しようとする者の氏名又は名称、派遣労働者として雇用しようとする旨、受動喫煙を防止するための措置が対象です。更新基準は有期労働契約の場合、派遣の項目は派遣労働者として雇用する場合に限られます。

保育士資格を持たない人を保育士として募集できますか

できません。児童福祉法第18条の23は、保育士でない者が保育士又はこれに紛らわしい名称を使用することを禁じています。違反した者は同法第62条第2項第2号で30万円以下の罰金に処せられます。資格のない職員を募集するときは、保育士を含まない職名で求人を出します。

保育士・保育所支援センターはどこに相談すればよいですか

設置しているのは都道府県・指定都市・中核市です。令和6年10月時点で全国75か所(都道府県46か所、指定都市・中核市29か所)が設置されていました。園が相談できる業務として、児童福祉法第18条の24第3号が「保育所の設置者に対し、保育士が就業を継続することができるような勤労環境を整備するために必要な助言その他の援助」を挙げています。連絡先は自園の所在地の都道府県または指定都市・中核市の保育担当課で確認してください。

採用した保育士について園が都道府県に報告する義務はありますか

あります。児童福祉法第18条の20の3により、保育士を任命し、又は雇用する者は、その保育士が第18条の5第2号若しくは第3号に該当すると認めたとき、または児童生徒性暴力等を行ったと思料するときは、速やかに都道府県知事に報告します。守秘義務に関する法律の規定は、この報告を妨げるものと解釈してはならないと同条第2項が定めています。

入園書類のオンライン化で職員の事務を減らす方法を検討する園向けに、zuuumy の資料をお送りしています。児童票・緊急連絡先・生活状況票・健康問診票・食品調査票の5種を保護者がスマートフォンから入力する仕組みと、CoDMONへのCSV連携の内容をまとめています。

著者:小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)。入園書類オンライン化サービス「zuuumy」を提供し、保育施設の入園業務の電子化に取り組んでいます。

出典

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