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保育所保育指針とは、5章の要点と改訂の動き

保育所保育指針とは、5章の要点と改訂の動き

保育所保育指針は、保育所における保育の内容と、それに関連する運営の事項を定めた国の告示です。現行のものは平成29年3月31日の厚生労働省告示第117号で、平成30年4月1日から適用されています。こども家庭庁のウェブサイトから302KBのPDFで入手できます。

保育所保育指針とは何ですか

保育所保育指針とは、保育所における保育の内容に関する事項と、これに関連する運営に関する事項を定めた国の告示です。根拠は児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第35条で、条文は保育の内容について次のように定めています。

第三十五条 保育所における保育は、養護及び教育を一体的に行うことをその特性とし、その内容については、内閣総理大臣が定める指針に従う。

条文は「指針に従う」と書いています。指針の第1章の冒頭には、各保育所は指針に規定される保育の内容に係る基本原則に関する事項等を踏まえ、各保育所の実情に応じて創意工夫を図り、保育所の機能及び質の向上に努めなければならないと書かれています。園が自由に決められるのは創意工夫の範囲で、基本原則は従う対象です。

平成29年の告示は、それ以前の指針(平成20年厚生労働省告示第141号)の全部改正です。告示文には「保育所保育指針(平成二十年厚生労働省告示第百四十一号)の全部を次のように改正し、平成三十年四月一日から適用する」と記載されています。指針は現在こども家庭庁が所管し、同庁の「保育」のページに掲載されています。

保育所保育指針はどこからダウンロードできますか

こども家庭庁の「保育」のページからPDFで入手できます。2026年10月27日時点で、同ページの「保育所保育指針 等」の欄にある主なものは次の資料です。

  • 保育所保育指針(平成30年度~)/PDF 302KB … 告示本文
  • 保育所保育指針解説(平成30年度~)/PDF 2,613KB … 解説の全体版
  • 保育所保育指針の公示について(通知)/PDF 80KB
  • 保育所児童保育要録関係(通知)/PDF 141KB、別添1(保育所児童保育要録に記載する事項)/PDF 66KB、別紙(様式の参考例)/PDF 317KB

解説は2,613KBあって1ファイルでは重いので、こども家庭庁は分割版も置いています。分割版は「第1章」「第2章1-2」「第2章3-4」「第3章、第4章、第5章」の4分冊で、園内研修で章ごとに配るならこちらが扱いやすいです。

条文の文言を語で検索しながら読む使い方なら、厚生労働省の法令等データベースにある告示本文のページがHTMLで表示されます。ブラウザの検索機能で「しなければならない」「努めなければならない」と打てば、義務の書き方が違う箇所をその場で拾えます。

第1章から第5章には何が書かれていますか

指針は第1章から第5章までの5章構成で、章の下にそれぞれ節が置かれています。

第1章 総則

節は4つです。「1 保育所保育に関する基本原則」「2 養護に関する基本的事項」「3 保育の計画及び評価」「4 幼児教育を行う施設として共有すべき事項」。保育所の役割、保育の目標、全体的な計画と指導計画、自己評価がここに入ります。

第1章4では、育みたい資質・能力として「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性等」の3つを挙げ、続く「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を10項目で示しています。10項目は、健康な心と体、自立心、協同性、道徳性・規範意識の芽生え、社会生活との関わり、思考力の芽生え、自然との関わり・生命尊重、数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現です。指針はこれを「保育士等が指導を行う際に考慮するもの」と位置づけています。到達目標として1人ずつ達成を確認する項目ではありません。

第2章 保育の内容

節は4つで、年齢で3つに分かれています。「1 乳児保育に関わるねらい及び内容」「2 1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」「3 3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」「4 保育の実施に関して留意すべき事項」。

示し方が年齢で違います。乳児は「健やかに伸び伸びと育つ」(身体的発達に関する視点)、「身近な人と気持ちが通じ合う」(社会的発達に関する視点)、「身近なものと関わり感性が育つ」(精神的発達に関する視点)の3つの視点でまとめられています。1歳以上3歳未満児と3歳以上児は、健康、人間関係、環境、言葉、表現の5領域です。乳児は3つの視点、1歳以上は5領域という示し方の違いがあるため、0歳児クラスの記録様式を1歳児クラスと同じ領域立てにすると、指針の区分とずれます。

第3章 健康及び安全

節は4つです。「1 子どもの健康支援」「2 食育の推進」「3 環境及び衛生管理並びに安全管理」「4 災害への備え」。重大事故の防止について、指針は場面を名指しで書いています。

事故防止の取組を行う際には、特に、睡眠中、プール活動・水遊び中、食事中等の場面では重大事故が発生しやすいことを踏まえ、子どもの主体的な活動を大切にしつつ、施設内外の環境の配慮や指導の工夫を行うなど、必要な対策を講じること。

健康診断については、嘱託医等により定期的に行い、その結果を記録し、保育に活用するとともに、保護者が子どもの状態を理解し日常生活に活用できるようにすることと書かれています。記録して終わりにせず保護者に戻すところまでが指針の記載です。

第4章 子育て支援

節は3つです。「1 保育所における子育て支援に関する基本的事項」「2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援」「3 地域の保護者等に対する子育て支援」。第4章2の(1)は「保護者との相互理解」で、日々の園からの発信もこの範囲に入ります。園だよりの位置づけと作り方は園だよりとは、決まりと作成・配信の実務で整理しています。

設備及び運営に関する基準の第36条も同じ方向を定めています。「保育所の長は、常に入所している乳幼児の保護者と密接な連絡をとり、保育の内容等につき、その保護者の理解及び協力を得るよう努めなければならない」。

第5章 職員の資質向上

節は4つです。「1 職員の資質向上に関する基本的事項」「2 施設長の責務」「3 職員の研修等」「4 研修の実施体制等」。第5章3は職場における研修と外部研修の活用に分かれていて、園内のOJTだけで完結させない書き方になっています。研修の修了要件や受講料の扱いは保育士の研修、令和8年度の修了要件と受講料にまとめました。

指針が園に作成を義務づけている計画と評価は何ですか

指針の文末は「しなければならない」「努めなければならない」「~こと」で書き分けられています。作成が「しなければならない」と書かれているのは次のものです。

  • 全体的な計画(第1章3の(1)ア)。保育の目標を達成するため、各保育所の保育の方針や目標に基づき、子どもの発達過程を踏まえて作成する
  • 長期的な指導計画と短期的な指導計画(第1章3の(2)ア)。全体的な計画に基づき、生活や発達を見通した長期的なものと、日々の生活に即した短期的なものの両方を作成する
  • 体系的な研修計画(第5章4の(1))。保育の課題や各職員のキャリアパス等も見据えて、初任者から管理職員までの職位や職務内容等を踏まえて作成する

年齢による指示が入るのは指導計画です。第1章3の(2)イの(ア)は、3歳未満児について「一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること」と書いています。3歳以上児について同(イ)が書いているのは「個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること」で、個別的な計画の記載はありません。指針が分けているのは3歳未満児と3歳以上児で、クラス区分では書いていません。同じ3の(2)のキは、障害のある子どもについて、家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなど適切な対応を図ることを求めています。年齢と障害の状態の2つが、個別の計画を作る条件になります。

評価は二段構えです。保育士等の自己評価(第1章3の(4)ア)と、保育所の自己評価(同イ)が別に置かれています。保育所の自己評価については、保育の計画の展開や保育士等の自己評価を踏まえて自ら評価を行い、「その結果を公表するよう努めなければならない」と書かれています。公表は努力義務です。評価そのものは設備及び運営に関する基準第36条の2が「保育所は、自らその行う法第三十九条に規定する業務の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない」と定めていて、省令側では義務になります。

保健計画は第3章1の(2)アにあります。「子どもの健康に関する保健計画を全体的な計画に基づいて作成し、全職員がそのねらいや内容を踏まえ、一人一人の子どもの健康の保持及び増進に努めていくこと」。全体的な計画が上位にあって、指導計画・保健計画・食育計画がその下につながる構造です(第1章3の(1)ウ)。

入園時と就学時の記録は指針のどこに書かれていますか

入園時の対応は第2章4の(1)「保育全般に関わる配慮事項」のエにあります。「子どもの入所時の保育に当たっては、できるだけ個別的に対応し、子どもが安定感を得て、次第に保育所の生活になじんでいくようにするとともに、既に入所している子どもに不安や動揺を与えないようにすること」。日数や進め方の指定はありません。

入園時に保護者から集める情報の使い方は第3章1の(1)イが触れています。「保護者からの情報とともに、登所時及び保育中を通じて子どもの状態を観察し、何らかの疾病が疑われる状態や傷害が認められた場合には、保護者に連絡するとともに、嘱託医と相談するなど適切な対応を図ること」。保護者からの情報が、園の観察と並ぶ判断材料として書かれています。入園前に健康や食物の情報を取りきれていないと、この条文が想定している対応ができません。児童票の記載項目と保存期間は児童票とは、記載項目と保存期間の基準で確認できます。

就学時は第2章4の(2)ウです。「子どもに関する情報共有に関して、保育所に入所している子どもの就学に際し、市町村の支援の下に、子どもの育ちを支えるための資料が保育所から小学校へ送付されるようにすること」。この資料が保育所児童保育要録で、記載する事項は通知の別添1に示されています。別添1の「入所に関する記録」は6項目です。

  • 児童の氏名、性別、生年月日及び現住所
  • 保護者の氏名及び現住所
  • 児童の保育期間(入所及び卒所年月日)
  • 児童の就学先(小学校名)
  • 保育所名及び所在地
  • 施設長及び担当保育士氏名

最初の2項目は、入園のときに保護者から受け取る情報です。入園書類の氏名と住所がそのまま卒園時の要録まで使われる流れになっていて、入園時点の記載が崩れていると就学までの各書類で突き合わせが要ります。

ZuMy株式会社が提供する zuuumy は、紙で集めていた入園時の書類を保護者がスマホから入力するサービスです。オンライン化している帳票は、児童票・緊急連絡先・生活状況票・健康問診票・食品調査票の5種です。保育ICTの CoDMON へのCSV連携にも対応しています(zuuumyとCoDMONのCSV連携)。

保育所保育指針の改訂はいつですか

2026年10月27日時点で適用されているのは平成29年厚生労働省告示第117号です。こども家庭庁のページに掲載されているのも「保育所保育指針(平成30年度~)」で、次の告示は出ていません。

次期改訂の審議は令和7年10月22日に始まりました。この日、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の幼児教育ワーキンググループ(第1回)と、こども家庭審議会幼児期までのこどもの育ち部会の保育専門委員会(第1回)が合同で開かれています。議事録では文部科学省の担当者が、平成29年3月に改訂した幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の3要領・指針について、「本日はこれら3要領・指針の次期改訂に向けました御審議のスタート」と述べています。

同じ議事録に、保育所保育指針等は「これまでも約10年に一度改定が行われておりまして、前回の改定時にも、保育所、認定こども園、幼稚園、それぞれの基準の間で内容の整合性を図っている」という説明があります。前回の改定後の変化として、こども基本法の成立、こども家庭庁の発足、こども大綱と「はじめの100か月の育ちビジョン」の策定が挙げられました。

第1回の会議で事務局が示した共通の検討事項は3点です。1つ目は「遊びの中での直接的・具体的な体系の一層の充実に向けた、指導と評価の改善・充実の在り方」、2つ目は「育みたい資質・能力の在り方・示し方」、3つ目は「子育て支援の充実、地域の体制づくりの推進」です。進め方としては、令和8年夏頃までにワーキンググループ・委員会としてのまとめを出す形が示されました。

新しい告示の日付と適用開始の時期は、この会議資料には書かれていません。園の様式や計画の作り直しが必要になるかどうかは、改訂後の告示本文が出てから判断する範囲です。審議の経過はこども家庭庁の保育専門委員会のページで公開されています。

よくある質問

保育所保育指針に従う義務はありますか

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第35条が、保育所における保育の内容について「内閣総理大臣が定める指針に従う」と定めています。指針本文にも「しなければならない」と書かれた事項があり、全体的な計画、長期・短期の指導計画、体系的な研修計画は作成が求められています。各保育所の実情に応じた創意工夫は指針の第1章が認めている範囲です。

保育所保育指針と幼稚園教育要領は別のものですか

別の告示です。幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の3つは、いずれも平成29年3月に改訂されています。令和7年10月22日の合同会議では、この3要領・指針の次期改訂に向けた審議が一体的に始まりました。

3歳未満児に個別の計画は必要ですか

必要です。保育所保育指針第1章3の(2)イの(ア)は、3歳未満児について「一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること」と書いています。3歳以上児について同(イ)が定めているのは、個の成長と子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮することで、個別的な計画の記載はありません。

保育所の自己評価の結果は公表しなければなりませんか

指針の書き方は「その結果を公表するよう努めなければならない」で、努力義務です。評価を行うこと自体は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第36条の2が「自らその行う法第三十九条に規定する業務の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない」と定めています。公表の方法や時期を自治体が指導監査で確認する場合があるので、様式や期限は所管の自治体に確認してください。

指針の解説はどこで読めますか

こども家庭庁の「保育」のページに「保育所保育指針解説(平成30年度~)」がPDF 2,613KBで掲載されています。章ごとの分割版も同庁の「保育指針解説(分割版)」のページにあり、第1章/第2章1-2/第2章3-4/第3章・第4章・第5章の4分冊です。

執筆: 小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)。入園書類のオンライン化サービス zuuumy を提供しています。

出典

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