公定価格とは、教育・保育に通常要する費用の額として国が定める、子ども1人当たりの月額単価です。園に毎月入るお金は、この単価に加算を足して減算を引き、月初日の在籍子ども数を掛けて決まります。令和8年度は人件費5.3%の改善が引き続き確保され、令和8年7月から「安全計画の策定等をしていない場合」と「経営情報等の報告を行っていない場合」の2つの減算が始まりました。
公定価格とは何ですか
公定価格とは、子ども・子育て支援法第27条第3項第1号の「内閣総理大臣が定める基準により算定した費用の額」を指す呼び名です。基準の中身は「特定教育・保育、特別利用保育、特別利用教育、特定地域型保育、特別利用地域型保育、特定利用地域型保育及び特例保育に要する費用の額の算定に関する基準等」(平成27年内閣府告示第49号)に定められています。
園に支払われる額の構造は、こども家庭庁の保育政策関係資料集が「給付費」=「公定価格」-「利用者負担額」と示しています。同法第27条第3項は、第1号の額(公定価格)から第2号の額(市町村が定める利用者負担額)を控除して得た額を施設型給付費の額とし、その額が零を下回る場合は零とすると定めています。
私立保育所は支払いの経路が違います。子ども・子育て支援法附則第6条第1項により、市町村は公定価格に相当する額を保育費用として私立保育所に委託費として支払い、この場合は第27条を適用しません。利用者負担額は市町村が保護者から徴収します。
単価の中身は、人件費・事業費・管理費の積み上げです。人件費は常勤職員の本俸・諸手当・社会保険料事業主負担金等と、嘱託医や非常勤職員雇上費、年休代替要員費、研修代替要員費で構成されます。管理費には旅費・庁費・職員研修費・被服費・職員健康管理費・業務省力化等勤務条件改善費(職員数に比例)、保健衛生費(子どもの数に比例)、補修費・特別管理費・苦情解決対策費(1施設当たり)が入り、事業費は給食材料費や保育材料費などの一般生活費です。
公定価格の単価はどうやって決まりますか
保育所の単価は、地域区分・定員区分・認定区分・年齢区分・保育必要量区分の5つの組み合わせで1つに決まります。留意事項通知の別紙2は、地域区分を「利用する施設が所在する市町村ごとに定められた告示別表第一による区分」、定員区分を「利用する施設の利用定員の総和に応じた区分」、年齢区分を「利用子どもの満年齢に応じた区分」と定めています。
こども家庭庁が令和7年10月6日に公表した処遇改善等加算の説明資料の算定例には、保育所/地域区分20/100地域/定員区分81人から90人まで/認定区分2号/年齢区分4歳以上児の基本分単価が、保育標準時間認定で53,100円、保育短時間認定で46,390円と載っています。同じ表の3号・乳児は保育標準時間認定で225,750円で、年齢区分の違いが単価の大きさをそのまま決めています。この資料の単価には、令和7年度の補正予算で措置された人件費5.3%の改善は反映されていません。令和8年度に自園へ適用される実額は告示の単価表で確認してください。
令和6年人事院勧告を踏まえた地域区分の見直しは、令和8年4月からは実施されていません。こども家庭庁は令和9年度に向けて引き続き検討するとしています。
支払いは月払いで、月初日の在籍子ども数に単価を掛けます。月の途中で利用を開始または終了した子どもは日割りです。留意事項通知は、告示により算定された各月の公定価格に、利用開始日からの開所日数(終了の場合は終了日の前日までの開所日数)を掛け、日数で割ると定めています。この「日数」は保育認定の子どもが25日、教育標準時間認定の子どもが20日で、算定した額に10円未満の端数があるときは切り捨てます。
基本分単価にはどの職員が含まれていますか
保育所の基本分単価に積算されている職員は、施設長1人、保育士、調理員、非常勤の事務職員1人です。年齢別配置基準は乳児3:1、1・2歳児6:1、3歳児20:1、4歳以上児30:1で、1・2歳児を5:1、3歳児を15:1、4歳以上児を25:1にするための費用は加算で算定します。
保育士はこのほかに、1人を主任保育士として費用を算定し、休けい保育士を1人加配します(利用定員90人以下は常勤、91人以上は非常勤)。保育標準時間認定の場合は、常勤保育士1人と非常勤職員(3時間)1人を加配します。調理員は2人で、利用定員20人以下は1人、151人以上は3人(うち1人は非常勤)です。
3歳児の配置基準は令和6年度に20:1から15:1へ改正されましたが、保育の提供に支障を及ぼすおそれがあるときは当分の間適用しない経過措置が置かれています。こども家庭庁は、3歳児を15:1以上で配置している保育所の割合が令和6年3月の94.5%から令和7年7月に97.1%まで上昇した(全体では94.3%から97.2%)ことを踏まえ、この経過措置の期間を令和9年度末(令和10年3月31日)までと決めました。
令和8年度は定員21人から40人までの保育所等の調理員が2人になりました。1人で一定数の調理を行うことの困難性を考慮し、繁忙時間帯の非常勤調理員について週5日(平日)・1日当たり4時間の配置分の費用を基本分単価に算入したもので、当面の間は配置を充足しないことも可能とされています。
加算と減算にはどんな種類がありますか
保育所の加算は、要件を満たした園が市町村の認定を受けて算定します。処遇改善等加算は令和7年度から区分1〜3に一本化されました。区分ごとの要件と提出書類は処遇改善加算が一本化、区分1〜3の要件と書類にまとめています。
留意事項通知の別紙2は、保育所の公定価格を基本部分(基本分単価)、基本加算部分、加減調整部分、乗除調整部分、特定加算部分に分けて書いています。基本加算部分に並ぶのは、処遇改善等加算、3歳児配置改善加算、4歳以上児配置改善加算、1歳児配置改善加算、休日保育加算、夜間保育加算、減価償却費加算、賃借料加算、チーム保育推進加算、副食費徴収免除加算の10項目です。特定加算部分は、主任保育士専任加算、療育支援加算、事務職員雇上費加算、冷暖房費加算、除雪費加算、降灰除去費加算、高齢者等活躍促進加算、施設機能強化推進費加算、小学校接続加算、栄養管理加算、第三者評価受審加算、特別地域保育体制確保対応加算、保育ICT推進加算の13項目です。
減算のうち加減調整部分に並ぶのは、分園の場合、施設長を配置していない場合、土曜日に閉所する場合、安全計画の策定等をしていない場合、経営情報の報告等を行っていない場合の5項目です。乗除調整部分は定員を恒常的に超過する場合の1項目で、直前の連続する2年度間常に利用定員を超えており、かつ各年度の年間平均在所率が120%以上の状態にある施設に適用されます。年間平均在所率は、当該年度内における各月の初日の利用子ども数の総和を各月の初日の利用定員の総和で除したものです。
令和8年度に創設された加算は2つです。1つは保育ICT推進加算(幼稚園・保育所・認定こども園30万円、地域型保育事業18万円を3月初日の利用子ども数で割り、単価に加算)、もう1つは特別地域保育体制確保対応加算で、離島振興対策実施地域や過疎地域などを有する市町村にあり、利用定員が20人かつ利用子ども数が15人以下の保育所・認定こども園が対象です。療育支援加算は令和8年度の見直しの対象になりました。保育ICT推進加算の要件は保育ICT推進加算が創設、要件は4機能で詳しく書いています。施設機能強化推進費加算は、全施設・事業一律16万円から、保育所・幼稚園・認定こども園20万円、その他事業所10万円に変わり、居宅訪問型保育事業所が対象に加わりました。
令和8年7月から始まった2つの減算は何ですか
令和8年7月から、「安全計画の策定等をしていない場合」と「経営情報等の報告を行っていない場合」の2つの減算が適用されています。どちらも基本分単価を減らす仕組みです。
安全計画の減算額は1,350円/月です。保育所について実施の有無が判断されるのは、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第6条の3に定める訓練・研修の実施(第2項)、保護者等への周知(第3項)、安全計画の見直し(第4項)で、こども家庭庁はこの項目ごとに判断するとしています。減算の期間は、安全計画が未策定の場合は策定された日の属する月まで、計画に定める内容が実施されていない状況が1年継続した場合はその翌月から状況が解消した日の属する月までです。留意事項通知の別紙2は、安全計画を策定していない施設と、職員への周知および研修・訓練の実施、保護者への取組内容等の周知、安全計画の見直しのいずれかを満たさない状態が1年間継続した施設に適用すると書いています。
経営情報の減算額は基本分単価に5%を乗じた額です。子ども・子育て支援法第58条第2項は、特定教育・保育施設の設置者と特定地域型保育事業者が毎事業年度終了後5か月以内に経営情報を都道府県知事へ報告しなければならないと定めています。減算は、報告期限から3か月以上経過して報告が行われていない場合と、誤りの指摘を受けたのにおおむね1か月以内に特段の事情なく適切な報告がされない場合に、期限の属する日の翌月から報告がなされる日の属する月までの間に適用されます。
適用の始期について留意事項通知は、令和6年4月以降に始まる事業年度に係る経営情報等の報告が、令和8年7月1日時点で事業年度終了時点から8か月以上経過しても行われていない施設には令和8年7月分から適用すると書いています。3月末決算の園の令和7年度分は、報告期限が令和8年8月末、減算の判定が令和8年11月末以降になります。災害その他のやむを得ない事情により報告等ができなかった場合は、市町村が認める期間は減算を適用しません。
加算を取り逃がさないために園で確認すること
加算は要件を満たすだけでは算定されません。市町村への申請と認定が必要で、処遇改善等加算のように加算率を使う加算は、加算率等認定申請書やキャリアパス要件届出書といった書類の提出が前提になります。年度の途中で職員構成が変わった園は、3歳児配置改善加算や療育支援加算のように基本分単価で充足すべき職員を満たしていることが条件になる加算があるため、基本分単価の職員構成を先に確認してください。
保育ICT推進加算は、ICT活用の責任者を置いたうえで、園児の登園及び降園の管理、保護者との連絡、保育に関する計画記録、キャッシュレス決済の4機能を持つICTを業務で活用し、保育業務施設管理プラットフォームと保活情報連携基盤の活用まで全て行う園が対象です。ここdeサーチの運営状況に関する情報を9月末までに最新化していない園は対象外になり、「保育所等におけるICT化推進等事業」の補助でシステムを導入した年度は算定できません。
ZuMy株式会社が提供している入園書類オンライン化サービス「zuuumy」は、紙で集めていた入園時の書類を保護者がスマホから入力する仕組みで、児童票・緊急連絡先・生活状況票・健康問診票・食品調査票の5種をオンライン化しています。入力するのは保護者で、園が日々つける記録の機能は持っていません。保育ICT推進加算が求める4機能はこの5種の範囲に入らないため、加算の要件確認は登降園管理やキャッシュレス決済を備えたシステム側で行ってください。zuuumyは保育ICTのCoDMONへのCSV連携に対応しており、入園時に集めた情報をCoDMONへ取り込む運用ができます。
自園に適用される単価の実額は、所在市町村の地域区分と定員区分が決まらないと出ません。告示の単価表と市町村の担当課で確認してください。
よくある質問
公定価格は保育園1人あたりいくらですか
区分の組み合わせで変わります。こども家庭庁が令和7年10月6日に公表した処遇改善等加算の説明資料の算定例では、保育所/20/100地域/定員81人から90人まで/2号・4歳以上児・保育標準時間認定の基本分単価が53,100円、同じ表の3号・乳児が225,750円です。この単価に令和7年度の補正予算で措置された人件費5.3%の改善は反映されていません。自園の額は告示の単価表と所在市町村で確認してください。
公定価格と委託費は何が違いますか
公定価格は国が定める単価そのもので、委託費は私立保育所への支払いの名称です。子ども・子育て支援法附則第6条第1項により、市町村は公定価格に相当する額を保育費用として私立保育所に委託費として支払います。施設型給付費の場合は、公定価格から利用者負担額を控除した額が支払われます。
令和8年度に公定価格は上がりましたか
保育士・幼稚園教諭等の公定価格上の人件費は、令和7年補正予算で措置された5.3%の改善が令和8年度も引き続き確保されています。この5.3%は令和7年人事院勧告を踏まえた改善です。令和6年人事院勧告を踏まえた地域区分の見直しは令和8年4月には実施されず、令和9年度に向けて引き続き検討することとされています。
月の途中で入園した子どもの公定価格はどう計算しますか
日割りで計算します。各月の公定価格に、利用開始日からの開所日数を掛け、保育認定の子どもは25日、教育標準時間認定の子どもは20日で割ります。開所日数がこの日数を超える場合は日数を上限とし、算定した額の10円未満の端数は切り捨てます。
公定価格が減額されるのはどんな場合ですか
保育所の場合は、分園の場合、施設長を配置していない場合、土曜日に閉所する場合、定員を恒常的に超過する場合です。令和8年7月からは、安全計画の策定等をしていない場合(1,350円/月)と、経営情報等の報告を行っていない場合(基本分単価の5%)が加わりました。
出典
- こども家庭庁「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項 ~各改定事項概要資料~」令和8年4月(確認日: 2026年11月03日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/330bfaef/20260409_policies_kokoseido_178.pdf
- こども家庭庁成育局長・文部科学省初等中等教育局長「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」令和5年5月19日(最終改正 令和8年4月8日)改正後全文(確認日: 2026年11月03日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/29277d03/20260727_policies_kokoseido_202.pdf
- こども家庭庁「保育政策関係資料集」令和8年4月(確認日: 2026年11月03日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/f924be75/20260416_policies_hoiku_228.pdf
- こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(令和7年度以降)」(確認日: 2026年11月03日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/649c9edc/20251006_policies_kokoseido_145.pdf
- 子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)e-Gov法令検索(確認日: 2026年11月03日)https://laws.e-gov.go.jp/law/424AC0000000065

