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指導計画とは、長期・短期と個別計画の作り方

指導計画とは、長期・短期と個別計画の作り方

指導計画とは、保育所の全体的な計画に基づいて、ある時期の保育のねらい・内容・環境構成・保育士等の援助を具体的に書いた計画です。保育所保育指針は、長期的な指導計画と短期的な指導計画の両方を作成しなければならないと定めています。3歳未満児については、これとは別に一人一人の個別的な計画が必要です。

指導計画とは何ですか

指導計画とは、全体的な計画に基づき、具体的な保育が適切に展開されるように作成する計画です。保育所保育指針(平成29年3月31日厚生労働省告示第117号)第1章3(2)アは、次のように定めています。

保育所は、全体的な計画に基づき、具体的な保育が適切に展開されるよう、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画を作成しなければならない。

文末が「しなければならない」です。長期だけ、短期だけという運用は指針の求める水準を満たしません。

全体的な計画との関係は同じ第1章3(1)ウに書かれています。全体的な計画は保育所保育の全体像を包括的に示すもので、指導計画・保健計画・食育計画はこれに基づいて作成します。作成の順番は、全体的な計画が先で指導計画が後です。

郡山市が公開している公立保育所の書類マニュアルは、全体的な計画を「保育士が指導計画を作成する際のベースになります」と説明し、年間指導計画を「全体的な計画に基づき年齢(クラス)ごとに作成する、比較的長期の発達を見通した具体的な指導計画」、月指導計画・週指導計画を「全体的な計画及び年間指導計画に基づき年齢(クラス)ごとに作成する、中・短期の具体的な指導計画」と定義しています。年間と月・週で、どちらが上位にあるかを書き分けている点が参考になります。

指導計画は何種類を作る必要がありますか

保育所保育指針が求めているのは、長期的な指導計画、短期的な指導計画、3歳未満児の個別的な計画の3つです。年案・月案・週案・日案という名称そのものは、指針の条文に登場しません。

指針は「長期的」「短期的」と書くだけで、区切る単位を指定していません。単位を明示しているのは幼保連携型認定こども園教育・保育要領(平成29年告示)で、第1章第2の2(3)イに「年、学期、月などにわたる長期の指導計画」「週、日などの短期の指導計画」と書かれています。保育所の場合、年で1本にするか、期を挟んで年・期・月の3層にするかは園が決められます。

自治体が公開している様式を見ると、同じ指針を踏まえた上で構成が違います。

  • 川口市は、年間指導計画(0歳児)、年間指導計画(1〜5歳児)、月別指導計画(0歳児)、月別指導計画(1〜5歳児)、週案、個別指導計画(1〜2歳児)、個別指導計画(障害児)をExcelで公開しています。市のページは、作成が求められる指導計画として「長期的な指導計画(年間、月案等)」「短期的な指導計画(週案、日案等)」「児童ごとの個別の指導計画(障害児、3歳未満児に限る)」「デイリープログラム」の4つを挙げています
  • 越谷市は、長期指導計画を年齢区分で3種類(0歳・1歳・2歳児用、3歳・4歳・5歳児用、3歳から5歳児までの異年齢児保育用)、短期指導計画を週案・日案・週日案をまとめた1ファイルで公開しています

川口市は0歳児と1〜5歳児で様式を分け、越谷市は0〜2歳児と3〜5歳児で分けて異年齢保育用を別に用意しています。自分の園の学年編成とクラス構成に合う区切りを選ぶところから始められます。

3歳未満児の個別の指導計画はどこまで作りますか

3歳未満児は、一人一人について個別的な計画を作成します。保育所保育指針第1章3(2)イ(ア)の記載は次のとおりです。

3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること。

3歳以上児について指針が書いているのは(イ)の「個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること」で、個別の計画の作成までは求めていません。3歳以上で個別の計画が位置付けられるのは、同じ3の(2)のキにある障害のある子どもの保育です。

判断に迷うのが、2歳児クラスの途中で満3歳になった子どもです。東京都福祉局が公開している認可保育所の指導検査の指摘事例集は、この点を次のように書いています。

2歳児クラスで満3歳になった児童について、個別的指導計画を作成するかどうかは、状況に応じて園で御判断ください。

作る・作らないのどちらかを都が指定してはいません。園の判断に委ねられています。年度途中で止めるのか年度末まで続けるのかを園の方針として決めて、その根拠を記録に残しておけば、検査で説明できます。

指導計画に最低限書くべき項目は何ですか

月・期を単位とした長期的な指導計画について、国の調査研究で整理された項目案があります。「保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン」(令和3年3月)は、厚生労働省が令和元年度に実施した「保育士の業務の負担軽減に関する調査研究事業」で、児童票や月・期の単位の指導計画について最低限記載することが望ましい項目を整理したと説明しています。

項目案は、クラス全体について5項目、個別指導計画について4項目という構成です。クラス全体は、子どもの姿、ねらい及び内容、環境構成と援助・配慮、家庭の情報、地域との連携・交流に分かれます。個別指導計画は、子どもの情報、子どもの姿、ねらい及び内容、環境構成と援助・配慮です。ねらい及び内容には、養護と教育を一体的に展開することに留意する旨の注記が付いています。項目名と記載内容例はガイドラインの該当ページで確認してください。

この構成は、様式を減らす根拠として使えます。ガイドラインは事例1の課題欄で、長期的・短期的な指導計画に様々な計画があって作成に時間がかかること、様式を検討する機会がなく園の保育実践に合っていないことを挙げています。いま使っている様式の欄をこの9項目と突き合わせて、どの欄が項目案に対応していないかを洗い出すと、削る候補が見えます。

指導検査で指導計画はどこを見られますか

東京都の認可保育所の指導検査は、指導計画について「作成」と「展開」を分けて見ています。指摘事例集に載っている指導計画関係の事例には、次のものがあります。

  • 長期的な指導計画を作成していない(例として「年案、月案等の長期的な指導計画を作成していない」)
  • 短期的な指導計画を作成していない(例として「週案、日案等の短期的な指導計画を作成していない」)
  • 3歳未満児の個別的指導計画を作成していない(不十分である)
  • 具体的なねらい及び内容が設定されていない
  • 長時間にわたる保育について、指導計画への位置付けがなく、対応が不十分である
  • 障害のある子供の保育について、指導計画への位置付け、対応が不十分である

長時間保育と障害児保育は、指針第1章3の(2)のカとキに対応します。カは「保育の内容や方法、職員の協力体制、家庭との連携などを指導計画に位置付けること」と書いていて、位置付ける対象が4つ挙がっています。延長保育の時間帯があるのに月案に記載が無い、という状態は指摘の対象になります。

障害のある子どもについて、東京都の改善策は「障害児の個別支援計画について、家庭や専門機関と連携しながら、子供の発達に合わせ、より具体的に立案・記録することが望ましいです」と書いています。望ましいという表現で、作成の義務とは水準を分けています。

検査項目そのものを公開している自治体もあります。練馬区の指導検査報告書は、保育内容関係の項目に「保育所保育指針に基づく全体的な計画および指導計画の作成等がなされているか」を挙げています。全体的な計画と指導計画をセットで確認する構成です。

指導計画の「展開」の側で挙がっている指摘は保育日誌の未作成です。東京都の改善策は「0・1歳児については生活の記録(体温、食事、排泄、睡眠等の記録)と子供の活動の様子を個人別に記録することが望ましいです」と書いています。

指導計画の保存期間と、令和8年度に変わった点

指導計画の保存期間を法令が全国一律で定めてはいません。期間は自治体の条例と通知で決まります。千葉市が公開している「保育園・認定こども園等における文書類の保存期間について」は、「教育・保育の提供にあたっての計画」を完結の日から5年保存、法令等の規定による必須と整理し、根拠として千葉市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例第34条第2項と第49条第2項を挙げています。要配慮児の年間指導計画は10年、参考という区分です。

同じ一覧で、児童票(児童の発達等に関する個別の記録)は10年の参考、保育所児童保育要録は6年の必須です。書類ごとに年数と必須・参考の区分が違うので、自分の自治体の一覧を見て並べ替えるのが確実です。児童票側の基準は児童票とは、記載項目と保存期間の基準に整理しています。

令和8年度には、個別の指導計画が加算の要件に関わる形で動きました。こども家庭庁の「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項」は、療育支援加算の取組内容として5つを求め、取組を必須化しました。そのうちの②が「障害特性等に応じた教育・保育の実践(施設内での協働・保護者との連携の下での個別の支援計画・個別の指導計画の作成、個別の指導計画に基づく教育・保育の実施、個別の指導計画の見直し、関係機関との情報共有等)」です。③では障害児通所支援事業所等と連携しての個別の支援計画の作成・見直しが挙がっています。

経過措置には期限が付いていました。同資料は、令和7年度に療育支援加算を算定している施設・事業所が主任保育士等を補助する職員の配置の単価を算定する場合、新たに示す取組を実施するための準備期間として令和8年9月末日までは従前の取組を行うことでも加算を算定できるとしています。令和8年9月末日は2026年9月30日で、この準備期間はすでに終わっています。療育支援加算を算定している園は、現在の取組が5つの内容に沿っているかを確認する段階です。加算全体の構造は保育園の補助金を3系統で整理、上限額と補助率で扱っています。

指導計画の作成は研修の科目にも入っています。保育士等キャリアアップ研修ガイドライン(雇児保発0401第1号)は、乳児保育分野の科目「乳児保育の指導計画、記録及び評価」の内容に「全体的な計画に基づく指導計画の作成」「観察を通しての記録及び評価」を挙げ、幼児教育分野も同じ「全体的な計画に基づく指導計画の作成」で、障害児保育分野は「全体的な計画に基づく指導計画の作成と観察・記録」です。受講の要件は保育士の研修、令和8年度の修了要件と受講料にまとめています。

zuuumy は、紙で集めていた入園時の書類を保護者がスマホから入力する形にするサービスです。オンライン化しているのは児童票・緊急連絡先・生活状況票・健康問診票・食品調査票の5種で、入力するのは保護者です。発達記録は保護者が入力するカテゴリの1つとして扱っています。保育ICTの CoDMON へのCSV連携にも対応しています。入園時の紙の回収と転記に時間を取られている園は、ZuMy株式会社までお問い合わせください。詳しい資料をお送りします。

よくある質問

指導計画は長期と短期の両方を作らないといけませんか

両方必要です。保育所保育指針第1章3(2)アは、長期的な指導計画と短期的な指導計画を「作成しなければならない」と定めています。東京都の認可保育所の指導検査では、長期的な指導計画を作成していない場合と短期的な指導計画を作成していない場合が、それぞれ別の指摘事例として挙がっています。

年案・月案・週案・日案は全部必要ですか

この4つの名称は保育所保育指針の条文にありません。指針は「長期的」「短期的」とだけ書いて単位を指定していないので、年・期・月のどこで区切るかは園が決められます。東京都の指摘事例集は長期の例として年案・月案、短期の例として週案・日案を挙げています。越谷市は、週案・日案・週日案をまとめた1ファイルを短期指導計画として公開しています。

3歳以上児に個別の指導計画は必要ですか

保育所保育指針が個別的な計画の作成を求めているのは3歳未満児です。3歳以上児について書かれているのは「個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること」で、個別の計画の作成までは求めていません。障害のある子どもについては、年齢にかかわらず指導計画の中に位置付けることと、家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなど適切な対応を図ることが示されています。

2歳児クラスで満3歳になった子どもの個別的指導計画はどうしますか

園の判断です。東京都福祉局の指摘事例集は「2歳児クラスで満3歳になった児童について、個別的指導計画を作成するかどうかは、状況に応じて園で御判断ください」と書いています。年度途中で止めるか年度末まで続けるかを園の方針として決めて、記録に残しておくと検査で説明できます。

指導計画は何年保存しますか

全国一律の年数はありません。自治体の条例と通知で決まります。千葉市は「教育・保育の提供にあたっての計画」を完結の日から5年の必須、要配慮児の年間指導計画を10年の参考と整理しています。自分の園がある自治体の文書保存期間の一覧で確認してください。

出典

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著者: 小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)