処遇改善等加算は令和7年度に一本化されました。旧加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの3本立てはなくなり、区分1(基礎分)、区分2(賃金改善分)、区分3(質の向上分)の3区分に整理されています。令和8年度は、キャリアパス要件が区分1の算定要件になり、副主任保育士等の研修修了要件が4分野又は60時間以上で完全実施に入った年度です。
処遇改善等加算とは何ですか
処遇改善等加算とは、保育所や幼稚園、認定こども園などの公定価格に上乗せして、職員の賃金改善に充てる費用を確保する加算です。要件と手続きは、こども家庭庁成育局長・文部科学省初等中等教育局長の通知「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(こ成保296・7文科初第250号、令和7年4月11日。最終改正はこ成保319・8文科初第171号、令和8年4月8日)が定めています。
通知の第1の1は、加算の目的を3つの費用に分けて書いています。職員の平均経験年数の上昇に応じた昇給に要する費用が区分1「基礎分」、職員の賃金の改善に要する費用が区分2「賃金改善分」、職員の技能・経験の向上に応じた追加的な賃金改善に要する費用が区分3「質の向上分」です。対象は特定教育・保育施設(都道府県又は市町村が設置するものを除く)と特定地域型保育事業所です。
水準の推移は、こども家庭庁の資料「保育士・幼稚園教諭等の処遇改善」(令和8年3月版)に書かれています。同資料は「H25年度以降累計で39%の改善」「令和7年度5.3%の改善【R7補正~】」と記載しています。
旧加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは区分1〜3のどこに入りましたか
旧加算Ⅰの基礎分が区分1、旧加算Ⅰの賃金改善要件分と旧加算Ⅲが区分2、旧加算Ⅱが区分3です。こども家庭庁の「令和7年度以降の処遇改善等加算について」が、この対応関係を見直し前後の図で示しています。
- 区分1(基礎分)… 旧加算Ⅰの基礎分。平均経験年数により2%〜12%の加算率
- 区分2(賃金改善分)… 旧加算Ⅰの賃金改善要件分と旧加算Ⅲを統合。平均経験年数により6%又は7%の加算率に、9千円×算定職員数を率に換算したものが加わる
- 区分3(質の向上分)… 旧加算Ⅱ。4万円/5千円×算定職員数で算定する
旧加算Ⅰにあった「キャリアパス要件を満たさない場合は▲2%」という減率の仕組みは廃止されました。同資料は、減率をやめて要件化したと書いています。
認定主体も変わりました。旧加算Ⅲは市町村が認定していました。見直し後は区分1から区分3まで、都道府県知事と指定都市・中核市の長が認定します。都道府県知事との協議により認定事務を市町村(特定市町村)で行うことは、従来と同様にできます。
令和8年度の変更点
3つあります。区分1でキャリアパス要件が算定要件になったこと、副主任保育士等の研修修了要件が4分野(60時間以上)で完全実施になったこと、区分3の人数Aに研修修了見込みの職員を数えられる経過措置が終わったことです。
公定価格そのものも動いています。こども家庭庁の「令和8年度予算案の概要」は、令和8年度の見直し事項として「保育士・幼稚園教諭等の処遇改善(令和7年人事院勧告+5.3%)」と「経営情報等の報告を行っていない場合の減算の創設(R8.7~)」を挙げています。
3つの変更それぞれの根拠と、2年目の園が申請で減らせる書類は処遇改善加算、令和8年度の変更点と期限で扱っています。
提出する様式は何本になりましたか
別紙様式は11本から7本になりました。こども家庭庁の見直し資料に載っている様式の新旧対照を1行ずつ数えると、見直し前が別紙様式1〜11、見直し後が別紙様式1〜7です。
- 旧別紙様式1「加算率等認定申請書(処遇改善等加算Ⅰ)」→ 新別紙様式1「加算率等認定申請書(処遇改善等加算)」
- 旧別紙様式2「キャリアパス要件届出書」→ 新別紙様式2「キャリアパス要件届出書」
- 旧別紙様式3「加算算定対象人数等認定申請書(処遇改善等加算Ⅱ)」→ 新別紙様式3「加算算定対象人数等認定申請書(区分3(質の向上分))」
- 旧別紙様式4「加算算定対象人数等認定申請書(処遇改善等加算Ⅲ)」→ 様式廃止
- 旧加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの賃金改善計画書(旧別紙様式5・7・9)→ 新別紙様式4「賃金改善計画書(処遇改善等加算)」に統合
- 旧加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの賃金改善実績報告書(旧別紙様式6・8・10)→ 新別紙様式6「賃金改善実績報告書(処遇改善等加算)」に統合
- 旧別紙様式11「賃金改善に係る誓約書(処遇改善等加算Ⅰ〜Ⅲ)」→ 新別紙様式5「賃金改善の誓約書」
- 新別紙様式7「特別な事情に係る届出書」… 新規
見直しの議論では、賃金改善の確認方法について「実績報告書だけで最大9枚作成」していた状況が、書類作成が多い要因として挙げられていました。実績報告は新別紙様式6の1本に統合されています。
通知には、継続して加算を受ける施設の提出書類を減らす規定も入りました。第3の2(2)は、加算当年度の前年度に区分2の適用を受けている施設・事業所から別紙様式5「賃金改善の誓約書」を徴し、設置者・事業者がその内容を職員に周知している場合は、別紙様式4とその別添1・別添2を徴することを要しないと定めています。区分3についても第3の2(3)に同じ規定があります。
区分1にも省略の規定があります。過年度に別紙様式2「キャリアパス要件届出書」と資質向上のための計画を示した書類を徴しており、その内容に変更がない場合、又は加算当年度に区分3の認定を行う場合は、この2つを徴することを要しません。実際にどの書類を提出するかは所管の自治体が指定するので、園の提出先の案内で確認してください。
区分3の加算額はどう配分しますか
1人に月額4万円を支給する要件はなくなりました。こども家庭庁の見直し資料の対応案に「従来の処遇改善等加算Ⅱの4万円を1人以上支給する要件は撤廃し、施設の判断により柔軟な配分を可能としてはどうか。(ただし、加算額は一人当たり4万円を超えないこととする。)」と書かれています。
個別の職員に対する改善額は、通知の第2の3(3)に定めがあります。区分3-①の副主任保育士等は月額4万円を超えないものとする。区分3-②の職務分野別リーダー等は原則として月額5千円とし、副主任保育士等の改善額のうち最も低い額を上回らない範囲において、月額5千円以上4万円未満とすることができる。
加算額の算定に使う人数は、人数A=基礎職員数×1/3、人数B=基礎職員数×1/5です。研修修了者が人数Aに達しない場合、人数Aは当該研修修了者の人数で算定します。
区分2と区分3には共通の要件があります。通知の第2の2(2)は「区分2と区分3を併せた加算による改善見込額は、1/2以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること」と定めています。賞与や一時金だけで改善見込額の全額を配分すると、この要件を満たしません。
配分の対象から外す職員の書き方は、自治体の案内で指示が出ています。横須賀市の説明資料は、人数Aに数える園長・主任保育士・副園長等について「人数Aにカウントするが区分3の配分対象とはしない場合に、改善見込額を0円とするのは差し支えありません」「特に、園長については配分対象にはならないため、改善見込額に0以外を記入しないよう注意してください」と書いています。記入方法の指示は自治体ごとに出ているので、園の提出先の資料で確認してください。
実績報告はいつ、どこに出しますか
加算当年度の翌年度速やかに、別紙様式6「賃金改善実績報告書」を市町村の長に提出します。認定は都道府県知事や指定都市・中核市の長が行いますが、実績報告の提出先は市町村の長と、通知の第6に書かれています。
添付する書類は2つあります。職員ごとの賃金水準や賃金改善等実績額を示す明細書(別紙様式6別添1)を添付します。区分2の加算額を複数の施設・事業所間で調整した場合は、施設・事業所ごとの拠出・受入の実績に係る内訳表(別紙様式6別添2)を添付します。
帳簿の保管義務もあります。区分2と区分3の適用を受けた施設・事業所は、賃金の改善に係る収入及び支出を明らかにした帳簿を備え、その証拠書類を整理し、帳簿と証拠書類を実績報告後5年間保管します。市町村から提供を求められた場合は提出します。
改善額が加算額に届かなかったときの扱いも決まっています。加算当年度の翌年度において加算による改善等実績総額が加算額を下回った場合は、その全額を速やかに職員の賃金と、加算による改善額に伴う法定福利費等の事業主負担分として支払います。退職者に対して加算の目的と関連なく適用される賃金の項目やその増額は、名目にかかわらず賃金の改善に要した費用に含められません。
よくある質問
処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲはいつ一本化されましたか
令和7年度からです。こども家庭庁の見直し資料に「令和7年度から処遇改善等加算(仮称)として一本化し、『区分1(基礎分)』、『区分2(賃金改善分)』、『区分3(質の向上分)』の各区分としてはどうか」と書かれています。通知は令和7年4月11日に発出され、令和8年4月8日に最終改正されました。
キャリアパス要件を満たさないとどうなりますか
令和8年度以降は区分1の算定要件です。従来の「満たさない場合は2%を減じる」仕組みは廃止されました。通知の第2の1では、キャリアパス要件の2つの内容に適合すること、又は区分3の適用を受けていることが区分1の要件とされています。
賃金改善計画書は毎年提出する必要がありますか
前年度に区分2の適用を受けている施設から別紙様式5「賃金改善の誓約書」を徴し、設置者・事業者がその内容を職員に周知している場合は、別紙様式4とその別添1・別添2を徴することを要しないと通知に書かれています。提出する書類は所管の自治体が指定するので、園の提出先の案内で確認してください。
区分3で1人に月額4万円を出す必要はありますか
ありません。旧加算Ⅱの「4万円を1人以上支給する」要件は撤廃されました。個別の改善額は、区分3-①の副主任保育士等が月額4万円を超えないこと、区分3-②の職務分野別リーダー等が原則として月額5千円とされています。
区分2と区分3の改善を賞与で行ってもよいですか
全額を賞与で行うことはできません。通知の第2の2(2)で、区分2と区分3を併せた加算による改善見込額の1/2以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善することとされています。
区分3の加算額の算定で、研修修了見込みの職員は数えられますか
横須賀市の説明資料は、人数Aに研修修了見込みの副主任保育士等を数えられるのは令和7年度に限ると書いています。令和8年4月8日最終改正の通知では、区分3の要件となる研修修了者の人数は、加算当年度の4月1日時点の研修修了者(研修修了見込みの者を含まない)で判断するとされています。
ZuMyは、入園時に保護者から受け取る書類をオンライン化するサービス「zuuumy」を提供しています。処遇改善等加算の申請書類そのものは扱いませんが、入園書類の回収と園児台帳への転記にかかっている事務時間を減らすことで、加算の計画書・実績報告書を作る時期の負荷を下げられます。zuuumy の資料請求はこちらから、対応している書類の種類と連携の範囲を記載した資料をお送りします。
執筆:小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)。本記事はこども家庭庁の通知・資料と横須賀市の公開資料の原文にもとづいて書いています。自園の加算区分や提出書類の判断は、所管の自治体担当課にご確認ください。
出典
- 施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(こ成保296・7文科初第250号、令和7年4月11日/最終改正 こ成保319・8文科初第171号、令和8年4月8日。確認日: 2026年10月23日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/189b7324/20260409_policies_kokoseido_194.pdf
- 令和7年度以降の処遇改善等加算について(こども家庭庁。確認日: 2026年10月23日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/e9e424a2/20251006_policies_kokoseido_146.pdf
- 保育士・幼稚園教諭等の処遇改善【令和8年3月版】(こども家庭庁。確認日: 2026年10月23日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/f7ce0adc/20260401_policies_hoiku_211.pdf
- 令和8年度予算案の概要(こども家庭庁。確認日: 2026年10月23日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/88749a20-e454-4a5b-9da8-3a32e1788a23/b7a315b7/20260126_policies_budget_95.pdf
- 子ども・子育て支援制度 処遇改善等加算 説明資料(横須賀市福祉こども部子育て支援課、令和7年9月。確認日: 2026年10月23日)https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2645/documents/r7syoguukaizennkasannsetumeisiryouv2.pdf

